自動車・家電製品などのハードウェアにソフトウェアを組み込む組み込みエンジニアは、資格取得が重要といわれています。
採用に必須ではないものの、エンジニアの転職では共通してスキルが重視される傾向にあるからです。
資格を取得していれば、スキルを視覚化し明確にアピールすることができます。
そこでこの記事では、組み込みエンジニアに役立つ資格についてまとめました。
併せて資格の特徴やメリットも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
組み込みエンジニアにおすすめな資格を解説
Contents
組み込みエンジニアを目指すのにおすすめの資格は、主に5つがあげられます。
- 基本情報技術者試験
- 応用情報技術者試験
- エンベデッドシステムスペシャリスト試験
- ETEC
- OCRES
上記を全て取得する必要はありませんが、いずれかを持っていると転職に有利となるでしょう。
比較的挑戦しやすい試験から難易度の高い試験まで幅があるので、自分に合ったレベルのものを選ぶのがおすすめです。
ここからは、それぞれの資格の特徴や試験内容について解説していきます。
おすすめの資格「基本情報技術者試験」
基本情報技術者試験は、エンジニアに求められている幅広いIT知識が身に付く資格です。
IPAが行っている国家資格であり、エンジニア職未経験の方は積極的に取得しておいた方がいいでしょう。
入社後から数年以内に取得を推奨している企業も多いため、準備しておくことで転職の意欲をアピールできます。
ただし合格率は20~25%であり、難易度は比較的高めの傾向です。
対策テキストの購入や認定講座を受講し、しっかりと準備しておく必要があります。
資格の特徴
基本情報技術者試験の特徴は、IT知識に関する出題範囲が広いことです。
そのためエンジニアの登竜門ともいわれており、多くの企業で取得が推奨されています。
出題範囲の主な項目は、プログラミング・ハードウェア・ソフトウェア・ネットワークなどです。
試験は上期・下期の年2回行われ、受験料は5,700円かかります。
現役エンジニアでも容易には合格できないといわれており、難易度はやや高めです。
試験内容や身に付くことは?
試験は午前と午後に分けて開催されます。
ちなみに認定講座を受講して修了試験に合格すると、午前の試験が免除される試験制度があるので要チェックです。
出題内容はエンジニアに求められているスキルの基礎といえる範囲なので、実践でも活かせる知識が身に付きます。
IT関連の仕事をする人にとっては定番の資格なので、特に未経験の方は積極的に取得を目指しましょう。
入社前に取得しておくことで、転職への意欲がアピールできます。
おすすめの資格「応用情報技術者試験」
応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験と同様にIPAが運営しています。
基本を踏まえたIT関連の応用知識が身に付くので、可能であれば基本情報技術者試験と併せて取得しておきたい資格です。
ちなみに合格率は20%前後となっています。
合格するためには、試験対策本や過去問題を活用して勉強するのがおすすめです。
企業によっては応用情報技術者試験の取得を採用条件にしているケースもあるので、転職の幅が広げられるでしょう。
資格の特徴
応用情報技術者試験の特徴は、IT技術者に必要な応用知識が求められていることです。
組み込み系に限らず全てのエンジニアに共通しているので、将来的にシステムエンジニアも目指せます。
主な出題項目は、ハードウェア・サーバー・プログラミングなどです。
そのため、組み込み系の問題も毎年出されています。
ソフトウェアとハードウェア両方の知識が必要な組み込みエンジニアは、取得すると効果的にアピールできるでしょう。
試験内容や身に付くことは?
試験は午前・午後に分けて行われ、どちらも6割以上の点数で合格となります。
午前は選択式で午後は記述式となり、どちらも試験時間は150分です。
ちなみに基本情報技術者と異なり、午前の試験を免除する方法はありません。
主な対象は経験が数年あるエンジニアとなっており、より実践的な知識が身に付きます。
基本情報技術者に合格した方は、次のステップとして挑戦してみましょう。
おすすめの資格「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」
エンベデッドシステムスペシャリストは組み込み系に特化し、略してESとも呼ばれている国家資格です。
IoTをはじめとした組込みシステムの開発基盤を構築する力や、システム全体の設計・製造力などが認定されます。
基本・応用情報技術者試験同様、運用しているのはIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)です。
専門的な知識が求められるため難易度は高めですが、転職前に取得すると採用担当者の目を引くアピールになるでしょう。
組み込みエンジニアとして活躍するなら、いずれは取得しておきたい資格です。
資格の特徴
ES資格の特徴は、出題範囲が組込みシステムの分野に特化していることです。
組込みシステム関連の作業を主導的に行う者が対象とされており、実践的な知識・能力が求めれています。
具体的にはソフトウェアとハードウェアの適切な組み合わせや、組込みシステム開発で必要な各工程などです。
合格率は15~20%で、簡単には合格できません。
そのためES資格を取得していれば、即戦力として評価されるでしょう。
試験内容や身に付くことは?
試験は午前と午後で各2部ずつに分けて開催されます。
具体的には午前が50分・40分の四肢択一式で、午後が90分・120分の記述式です。
組込みシステム関連で幅広く出題されるため、実践的かつ高度な知識が身に付きます。
一方で出題範囲が広く受験者が比較的少ないことから、対策テキストの入手が難しいため注意が必要です。
合格を目指すには、複数の参考書を用意しておいた方がいいでしょう。
おすすめの資格「ETEC」
ETEC(組み込み技術者試験)は、一般社団法人組込みシステム技術協会が行っている資格です。
出題される内容は組み込みエンジニアに関する知識で初級~中級程度といわれています。
得点によってグレードが決まるため、合否判定はありません。
グレードはA・B・Cの三段階で明確なラインは公開されていませんが、800点満点中550点以上でグレードAに認定されます。
組み込みエンジニアを目指すなら、まず最初に受けておきたい資格です。
資格の特徴
ETECの特徴は試験日が比較的自由に決められ、即日結果を受け取れることです。
試験は全国各地にあるピアソンVUE公認試験会場で行われ、パソコンを操作して受験します。
そのため事前に受験者登録を行えば、受験予定日の前日でも会場に空きがあれば予約可能です。
受験当日に結果がわかるので、転職時の応募書類提出まで余裕がないときでもすぐに付け足せます。
対策本もいくつか出版されているので、チャレンジしやすい資格といえるでしょう。
試験内容や身に付くことは?
ETECの試験は「クラス1」と「クラス2」の2種類があります。
クラス2はエントリレベルとも呼ばれ、誰でも受験可能です。
組込みソフトウェア教育を受けた学生やプログラミング未経験者を対象としており、初級技術者の知識が身に付きます。
一方クラス1はミドルレベルと呼ばれ、クラス1で500点以上取っていなければ受験することはできません。
設計工程の分析能力や実務能力が身に付き、点数が良ければ中級技術者として評価されます。
おすすめの資格「OCRES」
OCRESは「OMG認定組み込み技術者資格試験」の略称になる民間試験です。
試験は3つのレベルに分かれており、上からアドバンスト・インターメディエイト・ファンダメンタルとなります。
オブジェクト指向開発に関連する内容が出題されるため、組み込み系のエンジニアが対象です。
2020年現在は130ヶ国以上の国で実施され、同じ認定基準で判定されています。
そのため、エンジニアとしての知識を世界基準で示せるのが魅力です。
資格の特徴
OCRESの特徴は、国際的なスキルを明示できることです。
民間試験ではあるものの、世界各地で行われている試験なので認知度が高いといえるでしょう。
ちなみに合格率は公表されていませんが、全問題のうち50%程度のラインを越えれば合格となります。
試験をは下位レベルのファンダメンタルから受験する必要があり、合格すると次のレベルが受験できる仕組みです。
ファンダメンタルはオブジェクト指向の基本的な内容から出題され、レベルが上がるにつれて応用力が高まります。
試験内容や身に付くことは?
2020年4月以降のOCRESは日本語版試験が実施されなくなり、英語のみで受験する形式に変更されました。
そのため英語の読解力を備えていることが大前提となります。
大手企業でグローバルな活躍を目指す方は、英語力も併せて大きなアピールになるでしょう。
ちなみにまず受験するファンダメンタルは、取得するとソフトウェアの基本的なモデリング技能の知識が身に付きます。
そしてレベル上位のアドバンストを取得すると、開発チームのリーダーを務める資格があると証明できるでしょう。
資格を取得するメリット
組み込みエンジニアが資格を取得するメリットは、スキルが視覚化できることです。
そのため転職時に役立てるうえに、入社後は実務にも活かせます。
必ずしも資格がなければ不利というわけではありませんが、取得しておくとメリットはたくさんあるのです。
また自分に自信を持つこともできるでしょう。
そこでここからは、具体的なメリットについてご紹介します。
スキルの視覚化ができる
資格を取得するとスキルを視覚化でき、自分の知識がどの程度なのかが客観的にわかります。
そのため応募企業を選ぶ際にも、自分が活躍できるかどうかイメージしやすくなるでしょう。
求人情報には求められるスキルが提示されているため、どの資格が有利になるのか判断する目安にもなります。
そして何より資格を取得するための勉強は自分の知識として蓄えられるため、入社後の不安が軽減されるでしょう。
特にIT業種未経験の方は取得を目指すのがおすすめです。
転職に役立つ
転職活動では、応募書類に資格の取得状況を記載してスキルを明確にアピールできます。
求人情報に必要な資格は明記されていなくても、専門的なスキルや知識を求めているケースは実際多いです。
特に組み込みエンジニアに特化した資格は、転職の本気度が採用担当者に伝わります。
また会社によって扱っている製品は様々なので、効果的にアピールするには事前のチェックが必要不可欠です。
応募会社の扱う製品や仕事内容にどのような特徴があるのかリサーチしたうえで、取得する資格の優先度を決めましょう。
実務に活かせる
資格を取得することで身に付いた知識は、入社後の実務でも活かせます。
特にプログラミング言語であるC言語やアセンブラ言語を理解しておくと、仕事がスムーズに覚えられるでしょう。
組み込みエンジニアはスキル重視ではあるものの、やはり知識は大きな強みです。
知識があることでスキルも効率よく備わり、キャリアアップの可能性も高まります。
入社後でも資格取得は意欲的に取り組みましょう。
組み込みエンジニアへの転職に資格を活かす方法
組み込みエンジニアの転職に資格を活かすなら、組み込みエンジニア向けの資格を優先的に取得するのがおすすめです。
エンジニア全体ではなく組み込みエンジニアに特化した資格をアピールすることで、採用担当者に本気度が伝わります。
中でもC言語・アセンブラ言語・JAVA言語の知識は必須といっても過言ではないので、ある程度覚えておきましょう。
独学だけでは難しい場合、専門のスクールに通うのも有効な方法です。
また資格の取得に向けて勉強中の際も、応募書類に勉強中の旨をアピールしましょう。
転職の悩みは転職エージェントに相談しよう
組み込みエンジニアに挑戦する場合を含め、転職の悩みは転職エージェントに相談するのがおすすめです。
転職エージェントは求人企業の詳しいデータを持っており、転職者の希望に合った求人を紹介しています。
その中には非公開求人も多く含まれているので、自分では探せない条件の良い企業と出会えるチャンスです。
さらに転職活動中は、必要書類の作成や面接の日程調整など様々なサポートを行っています。
効率よく転職したい方は、ぜひ活用してみてください。
まとめ
組み込みエンジニアに転職する際は、資格を持っていることが大きな強みとなります。
難易度は決して低くありませんが、転職を有利に進めるためにも挑戦する価値は高いでしょう。
対策テキストや専門スクールに通うなど自分に合った方法で、取得を目指してみてください。
困った時には転職エージェントを活用するのも有効な方法です。
資格を取得し、組み込みエンジニアとして活躍できる未来を目指しましょう。