機械系エンジニアというと、なんとなくイメージはできても具体的にどんな仕事かあまり知られていないのではないでしょうか。
また、男性が多く活躍している印象の強い業界であるため女性は敬遠してしまうことも多いと思います。
しかし、知識と経験があれば女性でも十分実力を発揮できる業界であり、実際に女性エンジニアも最近では増加傾向にあるのです。
そんな機械系エンジニアを目指す上で重要となる志望動機の書き方や必要となるスキルについて解説していきます。
機械系エンジニアの志望動機の書き方を解説
Contents
志望動機で重要となるのは、応募者のスキルと志望した理由です。
特に機械系エンジニアでは専門知識がなくては業務を進めることができません。
そのため、どれだけの知識を持っているか示すことは大変重要な要素となります。
そして、異業種からの転職であればなぜ機械系エンジニアの業界を選んだのか、業界についての思いも伝えましょう。
知識を取得していても、仕事への熱意が感じられなければ採用にはつながりません。
前職では成し遂げられなかったことを志望先企業で叶えられると思った根拠を志望動機として伝えることが必要です。
また、機械系エンジニアの中でも業務内容はいろいろとあります。
どんな働き方を目指していくのか、入社後の働き方をイメージして具体的な展望も併せて伝えるようにしましょう。
・業務内容は多岐に渡るので、どういう働き方を望むか具体的に伝える
機械系エンジニアの主な仕事内容をチェック
機械系エンジニアの業務内容は業種によって若干の差があるものの、非常に幅広いことが特徴です。
工場設備や自動車などの設計や製作といったところが一番典型的なエンジニア業務でしょう。
他にも、作り上げられた製品の運用、保守管理や契約を取り付ける技術営業も含まれる場合があります。
また、製品開発はチームで行うことも多く、その陣頭指揮を任されることもあるのでマネジメント能力も求められるのです。
業務内容が多岐に渡るということは、その部署ごとに必要となる知識も変わってきます。
そのため、異業種からの転職で機械系のスキルが少なくても他の部分でアピールすることもできるでしょう。
志望企業の業務内容の詳細を把握し、その中で自身がアピールできるスキルがないか見極めることが重要です。
機械系エンジニアの転職で有利な資格
機械系エンジニアは技術職であるため覚えなければならない専門知識も非常に多くあります。
そのため必要な知識を保有していることの証明として資格の取得が面接では大きな意味を持つのです。
転職で有利となる3つの資格について解説していきましょう。
技術士
技術士は国家試験であるため、その取得難易度も非常に高くなっています。
試験は1次と2次に分かれており、1次試験は受験資格として必要な条件は特にありません。
また、指定の大学で必要な認定課程を修了していれば1次試験は免除されます。
しかし、2次試験の受験資格を得るには1次試験の合格だけでなく実務経験がなければなりません。
その実務経験も職務上の監督者がいる下で4年、指導者がいない場合では7年もの長い期間が必要とされます。
実務経験の条件をクリアしてようやく2次試験の受験資格を得られ、そこで合格することで晴れて技術士の資格が得られるのです。
合格率は1次試験は約30%あるものの、2次試験は10%を切る狭き門となっています。
これだけの厳しい条件であるため、取得すれば転職で非常に強い武器となるでしょう。
学習時間に余裕があり長期的に機械エンジニアでの活躍を考えている場合には、挑戦する価値が十分ある資格です。
機械設計技術者試験
機械設計技術者試験は、一般社団法人日本機械設計工業会が主催する資格で1~3級までレベル分けされています。
工場などで使われるような大規模な機械設計から、日常的に使われる家庭用品まで幅広い知識が問われる試験です。
3級は受験資格の条件がなく誰でも受けられ比較的取得難易度も低くなっています。
しかし、2級からは実務経験も必要になるので一気に取得難易度が上がっているようです。
実務経験は工学系の大学や高専専攻科を卒業していれば3年、工学系短大や高専、専門学校を卒業していれば5年が必要です。
いずれの学校も卒業していない場合には7年の実務経験が必要になります。
3級を取得していれば実務経験が1年短縮されますが、それでもかなりの期間が必要とされるのです。
さらに1級になると、実務経験と共に指定の職務経歴書を提出し書類選考を通過しなければなりません。
実務経験は2級よりも長くなり、工学系大学卒業で5年、短大や高専卒業で7年、それ以外では10年を必要とします。
また1級は2級のように資格取得で実務経験が短縮される制度もありません。
したがって、この資格も非常に取得難易度が高く上位レベルのものを取得できれば大きなアドバンテージになります。
CAD利用技術者試験
この試験は一般社団法人コンピュータ教育振興協会が運営しているCADに関する知識を評価する試験です。
CADは機械や建築の設計を行うだけでなく服飾の製図にも取り入れられ、アパレルメーカーでも使われるようになっています。
この試験では2次元CADと3次元CADに分けられ、その中でも基礎・1級・準1級・2級というようにレベルが分かれているのです。
合格率は2次元CADの基礎試験で約60~70%となっており、未経験でもチャレンジしやすい資格といえるでしょう。
機械系エンジニアの志望動機のポイント
機械系エンジニアの志望動機を書く上での具体的なポイントをご紹介します。
業界に対する適性を伝える
まずは機械系エンジニアの業界に対しての自身の適性を伝えましょう。
この仕事では細かいことを地道にコツコツ続けられる精神力が求められます。
製品の設計では部品の接続を行うのに材料の強度なども考慮した繊細な作業が必要です。
試作品の段階でテストを行い不具合があれば、また設計段階から見直さなければならないこともあります。
クライアントの要求に沿った製品を生産するまでにはいくつものハードルをクリアしなければなりません。
そのためには地道な作業を続けられる精神力の強さが必要となるでしょう。
それには機械についての知識も必要ですが、大前提として機械を扱うことが好きであることが重要です。
常に新しい知識を取り入れなければならないですが、その勉強も機械についての興味が強くなければ続けられないでしょう。
自身がどれだけ機械について興味があり、この業界に向いているのか熱意を持って伝えるのも有効な方法の1つです。
仕事で活かせるスキルをアピール
次に自分が習得した知識などのスキルをアピールしましょう。
機械系エンジニアにとってどれだけの知識量があるのかは重要なポイントになります。
学んできた知識や、取得した資格など転職に向けて準備してきたことを伝えましょう。
また、異業種からの転職であれば機械についての知識だけでなく前職で得たスキルもアピールのポイントとなります。
エンジニアといっても1人で作業を続けることは少なく、チームで開発を行ったり営業をしたりすることもあるのです。
そのため、製品開発のスキルだけでなくコミュニケーションスキルやマネジメント能力なども必要な場面があります。
そうしたスキルをアピールできれば、エンジニアとして熟練度が高い候補者にもアドバンテージを持つこともできるでしょう。
志望企業先でどのような働き方があるのか事前によく調べあげ、その中で自分が発揮できるスキルがないか確認します。
そして、入社後に自身のスキルを活かした活躍のイメージを具体的に伝えると、企業側にも必要性をアピールできるでしょう。
転職理由を明確にする
異業種から転職する場合は、その転職理由を明確にする必要があります。
その際に注意しなければならないのは、ネガティブな理由で転職をしていてもポジティブに言い換えることです。
例えば人間関係に悩み転職を決意した場合でも、そのまま伝えては他の企業でも良いのでは?と思われてしまいます。
転職を決意した理由がネガティブなものであっても、そこから志望企業を目指したきっかけや理由をはっきりと伝えましょう。
ただし、転職理由に無理につなげるために作りすぎるのも良くありません。
転職理由というのは自身が感じた固有のものであり、何が正解というわけではないのです。
自分が感じた転職の理由をなるべく正直に伝えたほうが、その企業を選んだ整合性が取れて説得力が増す内容となるでしょう。
・学んだ知識や習得した資格の他にも前職で得たスキルもアピールできるポイント
・ネガティブな転職理由はポジティブに言い換えながら、自分の言葉で選んだ理由を伝える
志望動機作成の注意点
志望動機を書く上で注意しなければならないポイントもあります。
志望企業に選んだ理由が明確に伝わるように気を付けなければならない注意点について解説していきましょう。
活躍したい仕事が明確ではない
入社後に配属される部署は企業側が決めることです。
しかし、自身がどのような仕事につきたいかイメージできていないと企業側にあなたの必要性が伝わりません。
どんなスキルを活かしてどういう活躍ができるのか、あなたが考える明確なイメージを伝えるようにしましょう。
それには、志望企業にどういった活躍の場があるか事前に把握しておく必要があります。
自身にどんなに素晴らしいスキルがあったとしても、志望企業で発揮できる仕事がなければアピールする意味がありません。
まずは入念に企業研究を行い具体的にどんな業務内容なのか確認した上で、自身が活躍できる仕事がないか考えてみましょう。
他社ではダメな理由を示していない
機械系エンジニアの業界を目指した理由だけでなく、志望企業を選んだ固有の理由も志望動機では必須な要素です。
これも事前にしっかりとした企業研究を行い、志望企業の特徴を把握しておくことが重要でしょう。
異業種からの転職でエンジニア業界の知識が乏しいと、なかなか企業の違いが見つけづらいものです。
そのため作り上げた志望動機が、間違った内容ではないがどの企業でも当てはまってしまうこともよくある傾向でしょう。
どこの企業でも当てはまるような内容では、面接官の印象には残りづらく採用する理由につながっていきません。
入念な企業研究で企業の特徴を掴み、志望した理由がはっきり伝わるような文章を心がけましょう。
・入念に企業研究を行い志望企業の特徴を把握して志望理由をまとめる
機械系エンジニアの志望動機の例文
これまでのことを踏まえて、未経験から機械系エンジニアを目指した場合の志望動機の例文をご紹介します。
CADの経験を活かした例文
「私はアパレル業界で主にパタンナーとしてデザイン画から衣装の型を作る仕事をしておりました。
業務を行う上で必要なCADの技術を学ぶ中で、3Dプリンターなど機械系エンジニアの分野にも強い興味を持っております。
これまで培ってきたCADの技術をさらに活かすことができる仕事をしたいと考え、貴社を志望いたしました。
貴社の行うロケット向けの搭載機器や航空機エンジンの開発にCADオペレーターとして携わらせていただきたく思います。
この分野での知識は少なく微力ではありますが、自身のスキルを最大限生かせるよう努めてまいる所存です。」
ソフトウェア開発からの転職を目指した例文
「私はこれまでSEとしてプログラミング業務を行ってきました。
今まではソフトウェア開発を行ってきましたが、より大きな規模の仕事をしたいと思いハードウェア開発への転職を志しました。
今後は電子回路や部品設計の分野において、自身のコンピュータの知識を活かし注力してまいります。
クライアントの要望に沿った製品を作るため、これまでもチームで一丸となり取り組んできました。
この経験を活かし各部署と連携を取りながら業務に当たり、将来的にはチームをまとめる存在へとなれるよう努力していきます。」
資格取得をアピールした例文
「私は食品メーカーの営業として従事していました。
しかし、大学時代に学んだ機械工学の知識が忘れられず、自身のスキルをもっと活かした仕事がしたいと考え転職を決意しました。
転職活動を始めるにあたり、学生時代の学習内容を思い出しCAD利用技術者試験を受け3次元CADの2級の資格を取得しております。
自身のスキルを活かし、貴社が取り組む3Dデータを使った図面制作の分野で活躍していきたいと考え志望しました。
3Dデータを活用し社会に貢献できるような製品作りに尽力していきたいと考えています。」
機械系エンジニアの志望動機のNG例
志望動機で避けなければならない表現の仕方もあります。
志望理由として不十分と取られる内容や抽象的な表現で分かりづらい内容になっているNG例をご紹介しましょう。
前職の不満を理由にしているNG例
「前職では社内でのコミュニケーションがうまく取れず悩んでいました。
個人で集中して作業を行える業務のほうが自身には向いていると考え、エンジニアの仕事への転職を決意いたしました。」
選んだ理由が抽象的なNG例
「私は小さい頃から機械に触れることが好きで、自分の関心の強い職業への転職を考え貴社を志望しました。
未経験であり現段階ではスキルを持ち合わせておりませんが、貴社で学び活躍したいという強い意志は持っております。」
機械系エンジニアは女性でも挑戦できる?
機械系エンジニアに女性が挑戦しやすくなった理由に以下の2つが挙げられます。
- 国の取り組みとして女性の社会進出をサポート
- 海外進出を行っていた企業が拠点を国内に戻す動き
エンジニアの業界というと男性が多いイメージがあります。
最近では女性エンジニアは増えていますが、それでも全体でみると約10%ほどの割合のようです。
ですが、国の取り組みとして女性の社会進出をサポートする動きが近年活発化しています。
そのため、男性社会のイメージが強い業界でも女性の管理職登用を促進させる動きがあり今後もその傾向は強まりそうです。
また、海外で展開していた企業が円安や海外の人件費高騰などの影響を受け、その拠点を国内へ戻す事例が多くなっています。
それに伴い、国内のエンジニアが不足しており多くの企業が人材確保に力を入れているようです。
研修制度を充実させ人材教育を強化して未経験からの受け入れも積極的に行う企業もあります。
また、育休や産休など女性の受け入れを見通して働く環境を整備する企業も増えているようです。
女性が少ない原因として、機械系エンジニアの認知度が低く女性が選ぶ職業の選択肢に入ってこなかったということもあります。
ですが、今後さらに産業を発展させるには女性ならではの繊細な感性など必要とされる場面は数多くあるでしょう。
女性が不利になることもなくなってきているので、知識と仕事への意欲を持てば自信を持って転職活動に臨むことができます。
転職の悩みは転職エージェントに相談しよう
業界知識が少ない状態での転職は、たとえ必要な知識を身に付けたとしても不安でしょう。
その企業がどれだけ女性を受け入れる環境が整っているかは、募集要項の文面を見ただけでは分かりません。
せっかく苦労して転職が成功しても、職場環境が想像と違いすぎて辞めてしまっては努力が報われなくなってしまいます。
そうした後悔をしないためにも、転職で悩んだら転職エージェントに相談してみましょう。
転職エージェントはいろいろな業界の情報を幅広く持ち、求人情報では分からない企業の実情もいろいろと把握しています。
そのため、未経験で転職が成功しやすい企業かどうかも判断がつきやすくなるので効率的に転職活動を進められるでしょう。
また、転職エージェント独自のルートで求人情報には載っていない非公開求人を紹介してもらえる場合もあるのです。
相談費用はすべて無料となっているので、悩みがあれば気軽に相談してみましょう。
まとめ
機械系エンジニアというと男性社会のイメージが強く、女性には敬遠されやすい業界でした。
しかし、国内に拠点を移す企業が増え新しいエンジニアの採用を活発化させている企業も多くなっています。
社内での研修制度や働く環境の整備に力を入れる企業も増え、未経験や女性でも働きやすい環境が作られつつあるようです。
それでも、さまざまな専門知識を身に付けたり資格を取得したりすることが必要になる事実は変わりません。
転職のハードルは低くありませんが、機械が好きな人や最先端技術に興味がある人にはとてもやりがいのある職業です。
転職について分からないことがあれば転職エージェントに相談を行い、しっかりと情報を集めた上で転職活動に臨みましょう。