IT業界の業界規模は年々上昇しており、主要企業の売上高の合計は16兆円を超え今後も拡大していくものだと思われます。
そんなIT業界で、IT技術を使って企業の課題解決や業務効率化のサポートをするITベンダーの需要も増えつつあるようです。
今回はITベンダーの仕事にスポットを当て、業務内容や役割、求められるスキルなどについて解説していきましょう。
ITベンダーの仕事内容を解説
Contents
フトウェアやハードウェア、ネットワーク機器などの製品を販売したり、それらの製品を導入・設計・構築するサービスを提供したりします。ITベンダーの主な仕事内容は以下の通りです。
製品の販売
ITベンダーは、自社が保有する製品を顧客に販売します。
顧客との契約や商談においては、顧客のニーズに合わせた最適な製品の提案や価格交渉が求められます。
システム導入の提案・設計・構築
ITベンダーは、顧客に対してシステムの導入・設計・構築を提案します。顧客の業務プロセスやニーズを分析し、その上で最適なシステムを提案することが求められます。
また、システムの導入にあたっては、設計や構築、テスト、トレーニングなどの業務を担当することもあります。
システム運用・保守
ITベンダーは、顧客が導入したシステムの運用・保守を行います。システムの障害や不具合が発生した場合には、速やかに修復することが求められます。
また、システムの改善やアップグレードなどの提案も行うことがあります。
カスタマーサポート
ITベンダーは、顧客からの問い合わせやトラブルに対して、適切なサポートを提供します。顧客に対するサポート体制を整備することが求められます。
技術情報の提供
ITベンダーは、自社が保有する製品や技術に関する情報を提供します。技術的な質問や疑問に対して、適切なアドバイスを提供することが求められます。
また、市場動向やトレンドなどの情報提供も行うことがあります。
ITベンダーと似た職種の関係性
ITベンダーと同じようにIT技術を使ってクライアント企業の業務効率化をサポートする職種がいくつかあります。
その代表的な例を2つご紹介します。
システムインテグレーター
システムインテグレーターは「SIer」(エスアイヤー)とも呼ばれ、主にシステム開発や運用などを請け負います。
クライアントの要望に応じて、業務・基幹システムを設計し、ホームページやデータベースの構築を行う業務です。
簡単にいうと、自社で考えてシステム構築をする代わりに最適な方法を見つけアドバイスをするようなイメージでしょう。
また、他のITベンダーが製品販売までが主な業務であるのに対して、顧客ごとにサービスをカスタマイズするのが特徴です。
ソリューションベンダー
英語の「solution」を和訳すると解決や解明という意味があります。
業務上のボトルネックとなっている部分を分析し、効率化させることでクライアント企業の課題を解決へと導くのが仕事です。
ソリューションベンダーも広い意味が含まれますが、主に専門分野に特化して業務を行うことが特徴です。
便利なシステムは数多くあるものの、単に導入しただけでは他の業務システムとの連携が取れず不具合が生じる場合もあります。
そこで外部のソリューションベンダーに委託することで、そういったITシステムで抱える問題を解決することができるのです。
ITベンダーの役割
クライアント企業から依頼を受けた場合、ITベンダーはどういった役割を担うのでしょうか。
その具体例についてご紹介します。
クライアントの課題解決
ITベンダーはクライアントから依頼された課題についてIT技術を使って解決していきます。
新しくITシステムを導入するのにその仕組みを構築したり、そのシステム運用をサポートしたりするのが主要業務です。
規模が大きい事業の場合は1社で引き受けることは少なく、作業を分担し複数の下請け業者を使うケースが多く見られます。
特に基幹システムの構築は、自社にエンジニアがいない状態で作り上げるのは非常に困難な作業となるでしょう。
その後の業務を円滑に進めるためにも、多くの企業は専門知識を持つITベンダーに依頼します。
こういったクライアントの課題解決が主な業務となるのです。
業務効率化
ITシステムがすでに導入されている企業であっても、既存サービスを改良するためにITベンダーを頼ることもあります。
IT技術は常に進化しており、既存のものからさらに便利な新しいサービスを導入したいと考える企業は多いでしょう。
しかし、既存のものから入れ替えたり、新しいものと並行して使用したりするにはIT技術についての知識が必要です。
ITサービスを効率よく機能させるための指南役としてもITベンダーは重要な存在となります。
ITベンダーのやりがいを感じる時は?
ITベンダーの仕事を行う上で感じるやりがいには次のようなものがあるでしょう。
- クライアントの課題を解決することで大きな達成感が得られる
- 現場での経験が自身の知識の向上につながる
クライアントから業務依頼を受け仕事を行い、目的達成時にはその成果が目に見えて分かるので大きな達成感が得られます。
企業のシステム構築など事業規模が大きなものであることも多いので、得られる達成感もより大きなものになりやすいです。
また、自身が携わったシステムを活用して発展していく企業を見るのは大きな自信にもつながることでしょう。
次に、現場で得た経験によって知識が増えていくことで自身の成長へとつなげることができます。
クライアントが抱える課題は、企業によってさまざまでありその対応方法も変えていかなければなりません。
また、技術の発展により新しいサービスが次々と生まれる度に必要な知識をつけることで自然とスキルも磨かれていきます。
多くの企業の課題を解決することで自身の経験値が上がり、さらに多くの課題を解決できるようになるでしょう。
ITベンダーの最先端で活躍することは、そんな良い相乗効果にもつながっていくのです。
ITベンダーに求められるスキル
ITベンダーに転職を考えた時に必要となるスキルについて紹介しましょう。
ITスキル
ITベンダーは自社が販売する製品やサービスに関する深い知識を持っていることが求められます。
具体的には、ネットワーク、データベース、セキュリティ、クラウドなどの技術的知識や経験が必要です。
ITベンダーはクライアントとの折衝なども行うので、営業などの業務もあるのですがその場合でも専門知識は必要になります。
基本的な知識を理解していないと、依頼された案件の問題点を見つけたり解決方法を見出したりすることができません。
入社後に必要な知識を学べる研修を用意している企業もありますが、それでも基礎的なものは身に付けておくべきでしょう。
ビジネススキル
ITベンダーは、ビジネスに関する知識や経験が必要です。顧客の業界やビジネスモデルを理解し、その業界における課題やトレンドを把握することが求められます。
リーダーシップ
企業の課題解決を行うには、ほとんどの場合チームを作り取り組むことになります。
そのため、全体の責任者だけでなく各部門ごとに取りまとめを行うリーダーが必要です。
経験を積んでいくと必然的に責任を負う仕事は増えていくので、リーダーシップを発揮する場面が多くなっていきます。
また、ITベンダーはプロジェクトを遂行することが多いため、マネジメントスキル(スケジュール管理、リソース管理、リスクマネジメント)が求められます。
コミュニケーションスキル
課題解決を行う上でチームで取り組むということは、チーム内や他部署とも連携を取る必要があります。
またクライアントの要望を聞く場合でも、より具体的に実現したい内容を引き出すには綿密な打ち合わせが重要です。
こうした多くの場面で周りと円滑なやり取りを行うためにコミュニケーションスキルは必須な要素となります。
専門知識を豊富に備えていたとしても、その知識を使って相手に効果的な方法を伝えられなければ業務が進んでいきません。
これも異業種からの転職でアピールできるコミュニケーションスキルがあれば率先して伝えていきましょう。
判断力
リーダーシップにもつながる要素となりますが、物事を判断する力というのも重要です。
課題解決を行う時に、状況によっては確証はなく仮説段階でのプランを実行しなければならない場合もあります。
仮説であるがゆえに思っていたのとは違う結果になり、もう一度プランを練り直さなければならないこともあるでしょう。
そんな時でもクライアントやチームのメンバーを説得し、1つの方向性を決めていくには高度な判断力が必要とされます。
正しく判断していくには、自身の固定概念だけでなくあらゆる可能性を考慮して決断するという広い視野も重要でしょう。
ITベンダーの転職に役立つ資格
IT系の資格は大きく分けて国家資格とITベンダー資格の2つに分けられます。
国家資格は文字通り国が定めた資格であるため、信頼性が高く資格の有効期限が無いというのもメリットとして挙げられます。
ITベンダー資格はITベンダー大手企業が定めた民間資格です。
特定の製品の知識やスキルを身に付けられるので、現場ですぐに活かせる実践的スキルが身につく点がメリットでしょう。
国家資格もいくつかありますが、その中でも有名なのは基本情報技術者試験です。
この資格は経済産業省が管轄するIPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験で春と秋の年2回行われています。
試験内容はITエンジニアとして知っておくべき基礎要素を問われるのですが、試験範囲がかなり広範囲です。
ですので、学習時間には長い期間をかけてじっくりと知識を身に付ける必要があります。
ただし、民間資格の中には有効期限があり更新が必要なものもあるのですが、国家資格は1度取得すれば失効することはありません。
受験費用も民間資格に比べ安く、特定の企業に偏った知識ではなくどの企業でもアピールできることが強みといえるでしょう。
対してITベンダー資格では「Oracle Master」や「Android技術者認定資格」が主要な資格となります。
Oracle Masterは日本オラクル社が運営する、データベース管理やSQLについての知識が問われる試験です。
試験のレベルはPlatinum・Gold・Silver・Bronzeの4段階で設定されています。
取得するには下位のレベルから順に受けていかなければなりません。
Silver以上の資格を持っているとデータベースとして実践的な知識が備わっていると評価されます。
また、国際基準の資格であるため取得すれば国内のみならず海外企業への転職でもアピールできる資格です。
Android技術者認定資格は主にAndroidアプリケーションの開発を行うのに必要なスキルが問われる試験となります。
ベーシックとプロフェッショナルの2つのレベルに分かれており、ベーシックの難易度は比較的低めに設定されているようです。
モバイルアプリの開発には必須な資格なので、その方面への転職を考えている場合には取得しておいたほうがよいでしょう。
・国家資格は一度取得すれば有効期限がない、民間資格は実践的スキルが身につくというメリットがある
ITベンダーに向いている女性の特徴
ITベンダーに向いている人にはどういった特徴があるのでしょうか。
代表的な3つの特徴について紹介します。
コミュニケーションスキルが高い人
ITベンダーは、顧客やパートナー企業、自社のエンジニアなど、多様な人々とコミュニケーションをとる必要があります。
そのため、コミュニケーションスキルやプレゼンテーションスキルが求められます。
またクライアントとのやり取りで、提案を行ったり要望を聞いたりするにもコミュニケーションスキルが重要となります。
自身の意見を正しく伝えるのに必要な高い表現能力だけでなく、相手の意見に耳を傾けるヒアリング力も必要な能力でしょう。
ITの知識が豊富な人
IT業界は専門知識が数多く必要となります。
現場で得られる経験も大切ですが、それ以上にしっかりとした基礎知識をつけておくことが重要です。
前述のITベンダー資格などを取得しておくのが企業にも知識量をアピールできる効果的な方法でしょう。
また、これらの知識を身に付けるためにはそもそもIT関連について興味関心が強くなければ難しいと思われます。
IT機器やネットワークの知識と共に、この業界が好きであるということが転職を行う上で重要な要素といえるでしょう。
責任感が強い人
必要な要素として責任感の強さも求められます。
事業規模が大きなものや依頼内容が複雑であることも多く、それに比例して業務内容もハードになりがちです。
それでも根気強く目的達成に向け作業を続けるには相応の責任感の強さが必要となるでしょう。
また、チームで動くことも多いため1つの作業が遅れると全体の作業にも影響してしまいます。
それぞれが自分の仕事を責任を持って成し遂げるという意識は持ち合わせておく必要があるでしょう。
転職の悩みは転職エージェントに相談しよう
異業種からの転職では、どれくらいの知識が必要なのか、どういった資格が有効なのかなど分からないことが多いと思います。
そういった転職での悩みや分からないことがあれば、転職エージェントに相談してみましょう。
転職エージェントは幅広い業界の知識を持っており、募集要項だけでは分からない業界の実情などの情報にも強いです。
また、インターネットなどには載っていない非公開求人を紹介してもらえる場合もあるので転職の幅が広がります。
転職相談にかかる費用もすべて無料となっているため、気兼ねなく相談することができるでしょう。
まとめ
IT技術の発達は目覚ましくさまざまな分野でデジタル技術が導入されており、その傾向は今後さらに強まるでしょう。
そのため、ITシステムを円滑に導入させるために専門知識を持ったITベンダーの需要はますます強くなると思われます。
独学で知識を身に付ければ未経験からでも転職することが可能でしょう。
必要な知識をアピールするには志望企業の業務内容に関係する資格を取得するのが効果的な方法となります。
求められる知識は幅広く身に付けるにも苦労しますが、必要スキルさえあれば女性でも十分活躍できる業界です。
少しでも興味があれば転職エージェントに相談し詳しい内容を聞いてみてはいかがでしょうか。